「まあ、要は、出張任務ってことだな」
閑静な住宅街、部活の帰りをとぼとぼと歩いていた青年に命の危機が迫ってからおよそ数10分後、和泉守兼定と名乗った男は青年の自宅、その2階の部屋でことのあらましを説明し始めた。
曰く、自分は西暦2205年から派遣されてきた、刀剣・和泉守兼定だと言う。2012年への時間遡行軍の侵攻以降、度々その残党のようなものが各時代で散見されるようになり、審神者は極小規模の戦いに応じるために、部隊ではなく少人数の刀剣男士を派遣。
そこで仮の主を得て、力を借りて事態を収束させる方針を取っているのだ、と、まるでできの良い助手に台本を用意されたように述べた和泉守兼定が、要は、と締めたところで、青年には意味がわからなかった。
素直に、申し訳ないが理解が出来ないことを述べると、彼は快活に笑い、赤い着物の胸をどんと拳で叩いた。
「難しいことはいいんだよ。あとはオレに任せて、どーんと構えててくれや」
「……は、はぁ……」
いやー、しかし腹減ったなあ、と和泉守兼定が天井を仰いだのと同時に、青年の部屋の扉が軽くノックされる。
「トシ、お友達にお茶菓子お持ちしたから開けて頂戴」
青年が慌てて扉を開ければ、青年の母がにこにこしながら2つのグラスと菓子の入った器を盆に乗せて部屋に入ってきた。
明らかに異質な、ともすれば人とは一線を画したような存在が部屋でくつろいでいても、青年の母は特に疑問を抱いている様子はなかった。
それどころか、歓迎の様子でローテーブルに冷たい麦茶と茶菓子を置き、ゆっくりしていってくださいね、この子が友達を連れてくるなんてはじめてなの、と和泉守兼定に話しかけている。
「母さん、いいから、ありがとう、大事な話してるんだ」
「なぁにもう。母さんも混ぜてよ」
「おふくろさんは大事にしろよぉ? 美人で気立てのいい母ちゃんは特にな!」
「あらやだ、ほんとにいいお友達じゃない!」
双方にからかわれて青年があたふたしているのを、母親は温かく見守って部屋を出ていった。
麦茶を酒のように呷り、和泉守兼定がふと青年を見る。
「お前さん、トシって呼ばれてたな、名前は?」
「え、あ、ああ、そう、はい。トシミツ、って言います」
「へえ」
なにか思ったらしいように、どこか懐かしそうに目を細めて、和泉守兼定が微笑む。いい名前だ、と褒めて、菓子の一個一個を興味深そうにつまみ始める。
「質問、いいですか」
「おう、なんでも聞け」
おずおずと切り出した言葉を気楽に受ける和泉守兼定が、おそらく人ではないのは青年――トシミツも理解した。
では、自分は一体何に巻き込まれているのか? 危ない目に合うのか? そんな心配が胃の腑をかき回すように巡っている。
「さっきのあのでかいのが、時間……ソコウグン? ですか? あなたは、あれをやっつけるためにいて……、ぼ、僕にも、それと戦う、とか……?」
「だー! 喋りがまどろっこしいな!! もっとはっきりでかい声で喋りやがれ! おめーも刀を握ってるんだろうが! 腹から声出せ!」
そう言って指さしたのは、部屋の片隅にある木刀と竹刀。
あれは、と、トシミツが顔を曇らせた。
「……やらされてるだけ、なので」
怪訝そうな顔をする和泉守兼定が、ぽいっと栗まんじゅうを口に放り込んで喉をつまらせかけ、トシミツのぶんの麦茶を飲んで事なきを得たので、その話は置き去りにされてしまった。
兼さんが最高に兼さんでした!!(語彙)
なんだかんだ面倒見が良くて、気のいい兄貴ってカンジで!
トシミツくんも、兼さんとの別れで記憶はなくしたけど、これからの指標が見えたんじゃないでしょうか。
自分でもわからないなりに、土方歳三関連の資料を読み込むようになるかもしれないですね!
最高でした!読了後、爽やかな風が吹き抜けたような心地になりました!
素敵な作品をありがとうございます。
兼さんがカッコ良すぎる!!!!!
心の堀川くんがペンラと団扇をぶん回してました。
兼定をよろしくお願い致します。
トシくんの名前が出たとこでもう、うあーーーーて転がってしまいました。
兼さん、存在が格好いい兄ちゃんなのに、さらに格好よさあげてくるから最高……!誉!優!!ありがとうございます!!
最初は不本意な始まりでも、それを続けられるのは1つの才能。兼さんはそれも見抜いて、少年(青年?)と打ち込みをしたのかもしれないなと思いました。
記憶には残らなくても、なぜか体が、感覚が知ってる……って、後々まで不思議な気持ちになってくれるといいな、とか。
あまりの格好良さ、彼らしさに兼さーーーん!!!って声出してキャッキャしたい気持ちをグッと堪えて(拝読したのが夜中なもので)、兼さんが去った後の風をくんかくんかしたいと思います。(くんかくんか、もう死語だったらすみませんっ)
すごくすごく素敵なお話を、ありがとうございました!!
もっと拝読したいです!!!
読ませていただきました。短い出会いの中にも起きるトシの成長、さわやかな読後、言葉遣いの巧みさに、めちゃくちゃ引き込まれました。文章もプロなのですね!もっと読みたい!
電車の中で拝読し目頭が熱くなりました。
心の中でが暖かくなる素敵なお話を書いて頂きありがとうございます♪
最高の作品をありがとうございます。
カッコよくて強いキャネスンと、気弱でも真の強さを感じさせる少年。
何度も読み直してます。
兼さんかっこよいです。少年と兼さん最高です。
最高にかっこよくて素敵で春の匂いがたっぷりのいいお話でした!!ありがとうございます!
気弱な少年の成長と兼さんのカッコ良さが最高に最高です!!!!
うちの本丸の堀川くんがきゃっきゃしながら読んでます。素敵な物語をありがとうございます!
最高です。
後の世に、様々な男士が顕現し、そこで出会う仮の主達とのお話とは、思いつきませんでした。
素敵なお話をありがとうございました。
また書いてくださいね。
素敵な作品と、こんなに素敵な場所をありがとうございます。
最高の小説を読んじゃったね!!!!!!隠居には分かる!!!!!!少年ーーーー!!!!!!少年とかねさんの組み合わせは最高なんだよね!!!!!!!
ありがとうございます!!!!!!!!!!!!もっとください!!!!!!!!