最後の敵を斬り伏せ、塵へと帰すると残党が居ないのを確認を済ませると明石は膝を着いた。
援軍が到着した頃には既に重傷一歩手前と言う深手を負っていたのだから仕方がないのだが、さて困った。
気配の消し方も知らない仮の主である女人が鉄扉の向こうにおり、このズタボロの状態で会えば卒倒しても可笑しくはないだろう。
その上、援軍に来ていた男士達も確認が済み次第早々に仮の主の元へ戻ってしまった以上、自力で何とかしなくてはならないのだ。
全くどうしたものかと途方に暮れている間に剣戟の音が止んだ事に気が付いたのであろう。ゆっくりと鉄扉が開かれ、様子を伺うように顔を出した女人の顔が凍り付くのを見て時間切れかと肩を竦めた。
「あ、あ…」
「皆と逃げ言うたのに悪いやっちゃな」
よっこらせっと立ち上がると傷を庇いながら近付き、冗談めかしながらもお仕置きとばかりに額を指で押し返して再び扉を閉めた。
その向こうで扉を叩き、開けるように訴え掛ける声が聞こえるも応えてやる気は無い。
そんなこんなしている内に帰還可能になったようで霊力の桜の花が何処からともなく舞い上がる。
「世話になったな。どうか元気で」
ドンドンと扉を叩きながら己の銘を必死に呼び、案じるその念いがただただ嬉しかった。
かつて己を扱った商人の生まれ変わりである女人の未来を念いながら刀剣男士明石国行は現世から姿を消した。
そして、本丸へ帰還して早々に視界に入った審神者へ挨拶もそこそこに手入れ部屋へと担ぎ込まれたのは言うまでもない。
とても良かったです!クラファンする時、「もしかしたら私もこういうことがあったのかも☺️」と思ったら、めちゃくちゃつぎ込んでしまいそう😂
大人しくマニキュアされる明石、ツボです!
素敵な小説、ありがとうございました!
コメントありがとうございます!
私も頭の中で導かれるような声がしたら注ぎ込んでるかもしれません。
そして、この明石は「自分は出来ないから」と言われたら仕方がないなーで付き合ってくれるし、仮とは言え危険な事に付き合わせてしまった相手から貰った『自分だけの物』となれば刀の装具品のように大切にすると思い、こう描かせて頂きました。
楽しんで頂けて光栄です。ありがとうございました!
おお、なんだか綺麗な話を読ませて頂きました。お疲れ様です!
大変柔らかく情景に満ちて良いお話でした。
ありがとうございます!
コメントありがとうございます!
また、このような素敵な機会を頂き、大変光栄の際でございます。
出来る限りの力を注ぎ込んだので、そう言って頂けると嬉しいです。
本当にありがとうございます!