「無理無理無理無理入れない」
「そんな訳ないでしょう。立派な足がついているんだから」
彼女が村雲を引き連れて訪れたのは、高級ブティックの一つ。
当たり前のようにドアマンに迎えられて店に入る彼女の後ろで、村雲は盛大に拒否反応を示した。
「だってここ、俺より高いもの、たくさん、」
「時には、背伸びをして憧れの店に入ることも大切よ」
「俺別に憧れてないけど?!」
「ほら、そこで騒いでいたら迷惑になるでしょう」
数百年の時を生きる付喪神を(後から思えば、この時点で村雲は己の素性をほとんど説明していなかった訳だけれど)まるで駄々をこねる幼子のように扱って。彼女は店の奥まで歩いて行ってしまう。
「ーーっくそっ、」
村雲は悪態をついてその背中を追いかけた。
靴、鞄、帽子に服にアクセサリー。
ほんの2時間で5店舗のブティックやセレクトショップを巡って。
彼女の買い物は、いっそ見ていて気持ちがいいほど思い切りが良かった。
当たり前のように荷物を持たされている村雲はげっそりとしている。物理的に重くはないけれど、値段が重い。今俺の両手にぶら下がる総額はいくらだろう。
「なあにしけたツラして。貴方も何か欲しいの?」
「いらないよ。身につけたって俺自身の価値が上がる訳じゃないし、」
ぶつくさと言えば、彼女はまた笑った。
「そうかしら。まあ、貴方はそうなのかもね」
ちらり、買ったばかりの腕時計の盤面を見て、「そろそろね、」と頷いた。
「え?」
「行くわよ」
片手をあげてタクシーを呼び止める。
村雲をその中に押し込んでから自分も乗り込んだ彼女は「シャルル・ド・ゴール空港へ、」と行き先を運転手に告げた。
「しゃる……?」
目を白黒させながら、村雲は本体である打刀をぎゅ、と抱きしめた。
マダムがカッコよすぎて惚れました!
村雲江にはこれくらいの主が似合いかも。
ラストのマダムが村雲を送り出すセリフがまたカッコいいこと!
面白くて、あっという間に読んでしまいました。マダムとっても素敵です!村雲江は知らずとたくさんの選択肢の中から、マダムを仮の主に選んで顕現したんだなあとにこにこしてしまいました!素敵な物語ありがとうございます!
面白かったあああああ!!!!
爽快!テンポがいいのにかけあしすぎなくて読みやすくてはらはらわくわくした!
大好き!マダムかっこよ!!!!
まさにマダム!!
こんな歳の取り方をしたいです!
70億の人間の中から選んでくれた、という理由でパリから東京に飛べる財力もほしい!!(笑)
村雲江のかわいさとあいまって、とても素敵な仮主従でした…!
わん!!!!
マダム格好いい!!
機上で雲を見下ろしながら、貴方の名前と一緒っていうところがとても好きです!
マダム、かっこいいです!!
高級店と飛行機にびくびくしている村雲江も可愛かったし、何と言っても最後の、マダムが発破をかける台詞が素敵でした!